2020年に電子配信コミックスとして連載がスタートした
『ガチ恋粘着獣 ~ネット配信者の彼女になりたくて~』。
個性的なキャラクターが話題を呼び、紙のコミックス化、各種のグッズ制作、
コラボカフェイベントなど様々なメディアへと展開され、
ついに2023年春にはテレビドラマ化が決定!
どのようにして作品は広がっていったのか、『ガチ恋』プロジェクトメンバーたちから話を聞いた。
『ガチ恋粘着獣
~ネット配信者の彼女になりたくて~』星来
ルックスの良さで、同級生から一目置かれる女子大生・輝夜雛姫(かぐやひなき)。そんな彼女には誰にも言えない秘密があった。それは、とある配信者グループのメンバー・スバルに“ガチ恋”していること…。本気でスバルと付き合いたいと願う雛姫に、ある日見知らぬアカウントからDMが届き、雛姫の人生は一変する――。
ゼノン編集部
2013年入社
田中 剛志TANAKA TAKESHI
出版事業部 電子書籍販売課
2015年入社
河野 智帆KAWANO CHIHO
営業事業部 販売課
2020年入社
太田 和成OOTA KAZUNARI
ライツ事業部
2020年入社
木村 直道KIMURA NAOMICHI
星来先生から最初に『ガチ恋』のネームをいただいたのが2019年でした。配信者にガチで恋したキャラクターたちの愛憎劇。狂気じみた顔や演出など、そのインパクトはとても強かったですね。さらに難しいテーマを扱っているにも関わらず、内容がわかりやすかったので編集会議は通せるだろうと思いました。そして、2020年1月にピッコマさんで連載がスタート。ただ、当初はあまり閲覧数が伸びず、どんな対策をしたらいいか考えていたところ、5月頃にSNSで第1話がバズってすぐに1~2万ぐらいの「いいね!」が付いたんです。そこからですね、盛り上がっていったのは。今では想像以上にコアなファンに支持してもらい、ありがたいことにたくさんの反響やメッセージもいただいています。
当初、『ガチ恋』は電子配信のみを想定した作品でしたので、編集担当の田中さんから「どこかの電子書店で先行配信できないか?」とご相談いただきました。私のほうからピッコマさんにご相談したところ、「面白い作品ですね」と取り上げてもらい先行配信が始まりました。電子書店はSNSや世の中の動きとすごくリンクしていますので、ネット配信者に恋をするという題材が刺さると感じられたのかもしれません。実際にしばらくしてSNSでバズりましたし、その後も閲覧数はずっと安定して高い水準となっていますのでコアな読者層が積み重なっているのだと思います。コアミックスでは、電子・紙の売上を社内の誰でも閲覧することができて数字に変化があればすぐに気づけるのですが、SNSの反応と売上が連動しているのが見てとれました。各部署で進めている企画や施策などの情報はチャットですぐに共有できますので、そういったスピード感が『ガチ恋』の広がりに大いに活かされたと思います。
『ガチ恋』のように電子コミックスで売れている作品を紙の単行本化にするのは見極めがとても難しいです。過去に電子作品をそのまま紙にして売れなかったこともありましたので、『ガチ恋』については作品のファン層と親和性の高い専門書店に営業としてヒアリングしました。この作品をどのようにお店に置いてもらえるか、どんな装丁だったら目立つか、どのような特典を付けたらいいか、帯の文言はどうするかなど、ヒアリングした内容を編集部と相談しながら企画を詰め、そして2020年8月に紙のコミックスが発売されました。販売部数も好調で、電子コミックスでは付けられない特典もリアルな店舗では可能ですし、何よりも専門書店の店員さんたちが一緒に作品を盛り上げてくれたのが大きいと感じています。さらに、コアミックスは作品ファーストの意識が高いため、部署を超えたチームが即席でできて、アイデアや技術の交流がフレキシブルな点も強みになりました。
私がプロジェクトに参加した2021年5月頃は、作品の知名度も少しずつ上がっていました。特徴的なキャラクターもたくさんいて、SNSなどを通してそれぞれのキャラに対して盛り上がっている様子を拝見しておりました。そこで、「本作のグッズを出したら面白いのでは」と思い、グッズメーカーに掛け合って一緒にチャレンジしてもらいました。最初に制作したのは、缶バッジやアクリルキーホルダー。想像以上に多くの方に手にとっていただけました。その後は様々なグッズを制作しましたが、中でも各キャラクターの描かれたアクリルスタンドは好評でした。星来先生ご自身のキャラ愛がとても強く、グッズ用に新しい服装やポーズなど様々なパターンを描き下ろしてくださったことも大きかったと思います。作品を楽しみにしていらっしゃるファンの方々が一番大事ですので、グッズ領域からは、皆様が心躍るような企画内容や適切なタイミングでの発売ができるよう心がけています。
私のメイン業務は電子書籍販売ですが、私も含めて社内の『ガチ恋』ファンの女性スタッフと一緒にファンの方々に喜んでもらえるイベントはできないかと考え、「コラボカフェを企画する」という通常業務とは異なる仕事に携わり、2022年2月に自社運営のゼノンサカバでコラボカフェを開催しました。例えば、ストーリーやキャラクターにちなんだメニューをお店のスタッフと一緒に開発し、注文すると各キャラクターからのメッセージペーパーを特典グッズにするなど、ファンの方々に喜んでもらうための企画にしました。コロナ禍で大変な時期でしたが、コラボカフェの告知を出した当日から多くの予約があり、たくさんの方にお越しいただききましたので、結果としてファンの方に喜んでいただけたイベントとなり、作品の更なる展開につなげることができたのではないかと思います。
今回のメディアミックス展開は、星来先生のお力が一番大きいです。専門書店の特典やグッズなどは、ほとんど描き下ろしていただいています。連載しながら新しい絵を描くのは本当に大変だと思いますが、漫画を仕上げながらもご対応いただきました。先生と一緒に作品を面白くすること。これは一番大切なことだと考えています。ただ、当たり前かもしれませんが、そこからの広がりをつくることも大事なんだとあらためて強く感じる作品です。書店さん、電子書店さん、ライセンシーさんなどからいただいた声を、ここにいるプロジェクトメンバーが私に届けてくれ、そして先生にお伝えすることでモチベーションアップにつながるなど、いい相乗効果が得られたのではないでしょうか。今後は、映像化などの話が来ていますので、メディアミックスはさらに広がっていくはずです。